KLA/TALK FY 2020 Joint Workshop / KLA・TALK 第 19 回合同セッション

日時:2021 年 2 月 6 日(土)14:00 –
場所:Zoom

14:00- 開会の辞

松坂 ヒロシ氏 (TALK 会長)

14:15-15:15 講演

山村 公恵(KLA会員)
青山学院大学 アカデミックライティングセンター 助手
タイトル: Non-anthropocentric Orientation in Socially Oriented Applied Linguistics

(含・質疑応答 15 分) *発表言語は英語

This talk features my recent endeavor to provide a new understanding about linguistic interactions from a perspective of applied linguistics. In this talk, I first explain about socially oriented applied linguistics, a label I constructed to differentiate the related studies from those grounded in structural and generative linguistics and cognitive SLA. I then introduce a non- anthropocentric orientation. I talk about how the orientation is constructed based on French philosophers Gilles Deleuze and Pierre-Félix Guattari’s (1980/1987) concept of assemblages and touch upon the related approaches in applied linguistics including post-humanist applied linguistics (Pennycook, 2018) and spatial and material orientations (Canagarajah, 2017, 2018). The data collected through an ethnographic approach also provides examples of how interactions are shaped with heterogeneous resources including verbal language, hand movements, drawings, and scientific instruments. In conclusion, I discuss the importance of introducing a non-anthropocentric orientation to understand linguistic interactions.

15:25-16:10 研究発表1
小林 潤子 (TALK 会員)
駒澤大学 非常勤講師
タイトル:CAN-DO リストを使った英語教育と学習者の意識について――大学生を対象とし た研究

(含・質疑応答 15 分) *発表言語は日本語

ヨーロッパで 2001 年に CEFR(Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment)が発表されてから 20 年余りたった(2018 年からは CEFR companion volume)。日本でも語学教育の中で CEFR や他の CAN-DO リストを 使用しての研究やシラバスへの活用は増えている。小・中・高では、2020 年度から順次施

行されている新学習指導要領で、5技能の CAN-DO リストが示され、教科書やテキストで も CAN-DO を学習目標として5技能のどれを学ぶかが記載されるようになってきた。ま た、テキストや教材でも CEFR 基準で学習のレベルを示すことが多くなった。日本の英語 教育は、このことで変わろうとしているが、導入の効果は検証されたか、日々の授業の中 て活用されているのかなど、十分に解明されてはいないのが現状といえそうである。

このような中で、実際に CAN-DO リストをチェックする時にリストの違いなどでなんらか の影響を受けるのか、CAN-DO リストが動機づけや英語力とどのように関係しているのか、 学習者達は CAN-DO リストに関して、どのような意識を持っているのか、について調査する 事がこの研究の目的である。今までは、高校生を対象として研究を進めてきたが、今回の発 表では、大学生を対象とした調査を中心に発表する。

調査は、大学の必修英語Iを受講している学生を被験者とした。4月・7 月・学年末の 3 回に渡って、1つの群に CEFR-J を元に作成した CAN-DO リストを自己評価してもらい、動機 づけのアンケートと TOEIC の簡易版を実施した。もう 1 つの群には日本英語検定協会を元 に作成した CAN-DO リストの自己評価と動機づけのアンケート・TOEIC の簡易版も同様に実 施した。両群とも 7 月と学年末には「4 技能の CAN-DO リストの自己評価に関しての感想」 も記述してもらった。これらのデータの分析したものを比較検討していきたい。

16:20-17:05 研究発表2

田中広宣(KLA 会員)
東京大学大学院 総合文化研究科 修士課程 タイトル:日本人英語学習者の名詞句構造把握能力の発達プロセス

(含・質疑応答 15 分) *発表言語は日本語

本研究の目的は,日本人英語学習者の名詞句構造把握能力がどのようなプロセスで発達 していくのかを,横断的調査によって考察することである。先行研究のテスト形式(金谷他, 2015; 鈴木・臼倉, 2018)を踏襲しつつも問題点を改善することにより,8 種類の主語位置 名詞句構造が把握できているかを測定するテスト(DB テストと呼ぶ)を開発した。調査に は習熟度の異なる日本人英語学習者 80 名が参加した。参加者の英語力は多岐にわたり,事 前アンケートの結果から CEFR の A1 から C1 の間に位置すると考えられる。

DB テストの結果から,初級レベルの英語学習者の名詞句構造把握能力の習得度合い(DB テストの正答率)は「前置修飾を含む名詞句→後置修飾句を含む名詞句→後置修飾節を含む 名詞句」の順に習得が難しいというProcessability Theory(Pienemann, 1998, 2005)に 基づく先行研究の予測(e.g., 酒井他, 2006; 鈴木・臼倉, 2018)を支持しているが,習熟 度に応じて名詞句構造把握能力も発達し,中級後半レベルに到達すると習得難易度の階層 性は見られなくなり,本研究で対象とした全ての名詞句構造をほぼ完全に習得しているこ とが示唆された。また,名詞句構造は把握できても英文の意味は理解できていない(もしく はその逆)場合もあることが分かった。さらに,詳細な誤答分析により名詞句構造が構文と して定着していないことによる典型的なエラーパターンが観察された。本発表では,調査で 得られたデータに基づき,用法基盤モデル(usage-based model)の観点を加え,名詞句構 造把握能力の発達プロセスについて詳細な提案を行う。

17:05- 閉会の辞

トム ガリー氏(KLA会長)

17:10-18:10 懇親会

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