|
講師は元NHK国際放送の英語アナウンサーで現在はフリーの朗読家、バイリンガルアナウンサーとして活躍している。一線の英語アナウンサーとしての経験や、講師が現在取り組んでいる日本文学の英語での朗読を通して、音声でメッセージを伝える際に重要となる項目についてお話をしていただいた。英語教育の世界で「音読」という言葉を耳にするようになって久しいが、書いてあるものを単に音声化するという意味のreading aloudではなく、活字に命を吹き込む朗読、つまりreading aliveが、現代の日本の英語教師に求められているものなのではないかと述べられた。
また、物語をうまく朗読するために、重要なこととして3つのポイントを挙げられた。まず、朗読をする際は活字で書かれている内容を立体的に想像しなければならないので、visualizationが重要であると述べられた。次に、文字の上では直接表れないもの(tones / pauses / stresses / expression)を駆使して、想像力をめいっぱい働かせながら朗読する必要があるとしてimaginationが重要な要素として挙げられた。最後に、朗読をする者は物語を完全に理解していないといけないとし、comprehensionの重要性が挙げられた。
以上の点に加えて、講師自身によるLafcadio HearnのMujinaや夏目漱石のTen Nights of Dreamsの実演朗読も示された。
一般に、外国語教育において教師が教室で学習者に対して音声のinputを与える時は、あらかじめ録音された教材を再生するか、教師自身がその言語を話したり読み上げたりすることのふた通りが考えられるが、本講演では、特に後者に関してより質の高い音声教材を提供していく必要性が示されたように思う。いわゆる「生きた英語」を学習者に伝えていくためには、英語教師自身もlive performanceにこだわっていく必要があるのかもしれないと考えさせられる講演会となった。
[文責:久保 岳夫]
|